【初一念】
中国唐代の僧、玄奘三蔵は経典を求めて中国からインドへ17年間、20万里の旅をしました。そうしてもたらされた経典を求めて日本から荒波を越え、中国へ渡った人たちが大勢いました。
日蓮聖人は釈尊の真意をつかむためまさしく命を懸けられました。真理を求める人は常に命懸けです。
そんな求道者に共通する心は「できるか、できないか」ではなく「やるか、やらないか」の腹のくくりの有無だったのです。
何事も初めの志、すなわち「初一念」が最も重要なのです。
日蓮聖人ご遺文
『乙御前母御書』
本書は女性信徒の日妙尼に与えられたお手紙で乙御前はその一人娘の名前です。
日蓮聖人が佐渡へ流罪となられた時、幼い娘を連れて母子2人で鎌倉から命懸けで聖人の下を訪ねました。その志を「日本第一の法華経の行者の女人なり」と称され「日妙聖人」の名を授けました。
本書には玄奘三蔵、伝教大師等の艱難求道の旅を述べつつ、母子の遠き佐渡への旅にこそ、その信仰の志の強さが窺われると賞賛されています。
文永10年(1273)
聖寿52歳